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FMDと私
こんにちは。院長の関野です。
今回は私も執筆させていただいている今年出版の新刊書籍の紹介です。
コチラです!↓↓

この本には、歯周病の治療方法のひとつである、抗生剤を使用するFull-mouth disinfection (以下FMD)について書かれています(Full-mouth SRPとも言います)。
FMDについては昨年末のブログ「年末のご挨拶と…」にも記事を書かせていただいていますので、そちらもぜひご覧ください!
私のこれまでの執筆や講演のほとんどがこのFMDと関連があります。
私の歯周病治療の考え方や取り組み方を大きく変え、歯科医師人生のターニングポイントになったとも言えるFMDですが、この方法を始めるきっかけになったのはある論文との出会いです。
その論文は、鶴見大学の五味一博先生が2007年にjournal of periodontology で発表された” Effects of full-mouth scaling and root planning in conjunction with systemically administered azithromycin“です。
この論文を読んだとき、私は目の前の道がパッと開けた感覚になり、すぐにこの方法をやってみたい!とワクワクしたのをよく覚えています。
その理由は、当時取り組んでいた障害のある方への歯周病の治療と非常に相性が良いと思ったからです。
そして治療の結果は予想をはるかに超え、今まで治らず苦労していた歯周病をほぼ完璧に治すことができるようになりました。
~それではここで、歯周病の治療方法について簡単に解説します。~
私たちが患者さんに対して行う歯周病の治療は大きく「基本治療」と「外科治療」に分かれます。
基本治療は最初に行う治療で、基本治療で改善しない場合に外科治療に進みます。
外科治療は歯ぐきをめくって、歯周ポケットの中を目で見える状態にして、歯の根に付いた歯石や感染した歯ぐきを取り除く治療です。
一方基本治療は、目では見えない歯周ポケットの中を指の感覚を頼りに治療を行うため、歯石や感染した歯ぐきを取り残すことが多々あります。
つまり基本治療はとてもとても技術が要求される治療方法なのです。
学術的には歯周病が重度(歯周ポケットの深さが6㎜を超えるもの)だと、基本治療では治すことは簡単ではなく、外科治療を視野に入れます。
それではFMDは基本治療なのか?外科治療なのか?
答えは基本治療です。
通常数回に分けて行う基本治療を1回で行うのがFMDです。
私の臨床的感覚では、数回に分けて行うよりはるかに治ります。
それは中くらいの歯周病ならばほぼ完璧に、重度でもかなり良いところまで治すことができます。
ならば歯周病の治療はすべてFMDで治せばいいのでは?となるのですが、全部の歯の基本治療を1回で行うことは、保険診療では認められない場合が多いです。
また、治療時間も非常に長く、局所麻酔をすべての歯に行うことは患者さんの負担が非常に大きいため、全身麻酔下でのFMDを強く推奨しています。
これらのことから、簡単な治療方法ではないとも言えますが、1回の治療で歯周病が改善するメリットは非常に大きいと思います。
FMDにご興味ある方、歯周病でとても困っている方、歯周病が心配だけと治療が怖くて通院ができていない方など、ぜひお気軽にご相談下さい!
歯周病の話は、まだまだ書きたいことはたくさんあるので、また記事にしていきます!